物件を借りる・購入する際に多くの人が気になるポイントの1つとして「事故物件かどうか」が挙げられます。

条件にマッチする物件であっても「事故物件であれば候補から外したい」と考える人も多いでしょう。

そこでこの記事では、事故物件の調べ方、見分け方を紹介します。1人暮らしを検討している人や、これから引っ越す予定がある人は参考としてみてください。

事故物件の調べ方

まずは事故物件の定義から確認してみましょう。

国土交通省が制定しているガイドラインによると「不慮の事故死や自然死以外の死」または「特殊清掃を要する死」があった物件が事故物件に該当します。

たとえば高齢者の自然死が発生した物件の場合は、不動産取引時の判断を揺るがす要素ではないため事故物件にはなりません。しかしながら、自然死であっても特殊清掃が必要な場合は事故物件に当てはまるため注意が必要です。

以上の前提を踏まえて、事故物件の調べ方を紹介します。

インターネットを活用する

インターネットを活用して事故物件かどうかを調べる方法は手間がかかりません。移動中や空いた時間に調べられます。

しかしインターネットの情報は玉石混合であり、真偽が定かでない情報や、偽の情報があたかも本当のように書かれている可能性もあります。そのため、インターネットで検索する際には情報元に注意しましょう。

不動産会社や不動産会社と提携しているポータルサイト、実際に住んでいたことが明らかである人の口コミなどを参考とし、それ以外の噂はあくまでも噂としてとらえることをおすすめします。

不動産会社に直接確認する

インターネットの情報に確証が持てない場合、不動産会社に気になる物件の告知事項に関して直接確認してみましょう。

不動産会社は事故物件を紹介する際に告知をしなければならない義務があります。また、部屋だけではなくエレベーターやマンションの廊下などの通常使用する共用部分の事故も告知対象であるため、細部までしっかりと聞いておくのがおすすめです。

不動産会社の対応も同時にチェックできるので、不安が残るようであれば別の不動産会社への依頼も検討してみてください。不安要素を限りなく取り除きたい人は、過去の入居者についても質問してみるとよいでしょう。

もちろん個人情報は教えてもらえませんが、居住期間や引っ越し理由などを教えてもらえる可能性があります。また、前の入居者が退去してから長い間空室になっている場合は「なぜ空室が続いているのか」を聞くのもよいでしょう。

事故物件かどうかを見分ける方法

実は、インターネットでの検索や不動産会社への確認以外にも、事故物件かどうか見分ける方法があります。以下をチェックして事故物件かどうかを見極めてみてください。

物件概要に記載がある

物件概要に「告知事項あり」「心理的瑕疵あり」の記載があれば、事故物件の可能性があります。ただし、告知事項や心理的瑕疵について、物件概要では細かい内容まで記載されていません。

候補として考えていた物件に「告知事項あり」「心理的瑕疵あり」の記載を発見した場合は、不動産会社に問い合わせをして詳細を確認しましょう。

心理的瑕疵とは心理的な抵抗が生じる物件を指していて、以下のような項目が該当します。

・前住人の自殺、他殺、事故死、
・同じ物件内や周辺での事件、事故
・近くに墓地や心霊スポットなどがある
・近くに騒音、悪臭のする場所がある
・近隣に指定暴力団構成員等が居住している

心理的瑕疵には明確な基準となるものが存在しませんが、物件の売主、貸主には告知義務があります。物件概要に記載されていれば、すぐに確認するとよいでしょう。

賃料が相場より大幅に安くなっている

物件の賃料は地域によってある程度相場が設定されています。検討している物件が相場よりも大幅に安くないかどうかをチェックしてみてください。相場よりも3割近く安くなっている場合は、不動産会社に家賃が安い理由を聞いてみましょう。

また、近隣の同条件の物件を調べて相場をチェックするのもおすすめです。対象の物件だけが極端に安い場合、部屋で誰かが亡くなっていたり、物件の周辺に嫌悪施設があったりするかもしれません。住んでから後悔しないよう、しっかりと確認するのがおすすめです。

一部だけリフォームされている

壁紙や床、お風呂場など、部屋の一部だけがリフォームされている場合はなぜリフォームされているのかを確かめましょう。1部屋だけがきれいになっている、畳が1カ所だけ交換されているといった場合は要注意です。

特殊清掃を実施しても汚れが落ちない場合は、リフォームで部屋をきれいにするため、事故物件の可能性があります。リフォームした部屋に違和感がなくても、部屋全体に独特な臭いが充満している場合も注意が必要です。

しかし、時代やニーズに合わせたリフォームを実施して、他の物件と差別化を図っているケースもあるため、事故物件と決めつけないようにしましょう。

物件名が変更されている

物件内で大きな事故が発生した場合、マンションやアパートの名称を変更しているケースがあります。

物件名を変更する理由としては、事故が起こると入居者がいなくなってしまうためです。インターネットで簡単に事故物件を調べられるので、住所を検索して物件名が変更されていないかどうかを確かめてみましょう。

事故物件に限らず、物件名を変更しているケースは意外と多くあります。たとえば、物件の所有者や物件の管理会社が変わるタイミングです。物件の名称が変わっているからといって、すぐに事故物件と認定しないようにしましょう。

定期借家となっている

定期借家とは、賃貸の期限があらかじめ決まっている物件を指します。通常、賃貸契約は2年ですが、定期借家の場合は物件によって期限がバラバラです。短期間の契約ができるため、持ち家をリフォームしている間などに活用する人もいます。

定期借家は相場よりも家賃が低い場合も多いため、好条件で借りられるのが特徴です。では、なぜ定期借家は事故物件の可能性があるかというと、令和3年10月に国土交通省が「人の死の告知に関するガイドライン」を策定するまで、告知義務の必要性や範囲の基準が宅建業者によって異なっていたことが考えられます。

とくに賃貸の場合では「2人目からは告知義務がなくなる」といった通例があり「定期借家で貸し出して短期間入居者に住んでもらえば、その後は事故物件と告知しなくても宅建業法上の重要事項説明義務に違反しない」ととらえている業者もいたようです。

こうしたことから、1年未満の契約期間を定められる定期借家には「事故物件が多い」といったイメージが付いてしまったのかもしれません。現在では、告知義務の期間についてガイドラインで目安が定められています。賃貸では、おおむね3年とされているため、定期借家だからといって一概に事故物件と決めつけてしまうのは早計といえます。

事故物件を購入してしまった場合の対処法

気をつけて物件を選んだにもかかわらず、事故物件を購入してしまったというケースもあるかもしれません。まずは不動産会社や売主に相談してみてください。

契約解除を申し出る

「事故物件と知っていたら購入しなかった」という場合には、売主と不動産会社に解除契約を申し出ましょう。しかしながら、不動産会社が告知義務を果たしているかどうかで対応が変わります。売主や不動産会社が事故物件であることを説明しなかった場合、説明義務違反として契約の解除請求が可能です。

さらに、強引に購入させられた場合など「悪質な商法」であると判断されれば、損害賠償請求が認められる可能性もあります。しかし、売主や不動産会社が告知義務を果たしている場合には契約解除の申し出ができないため、注意しましょう。

なお、実際に裁判になるケースは少なく、妥協点を見つけて解決するのがオーソドックスです。

買取専門の業者へ依頼する

事故物件の買取専門業者へ依頼するのもよいでしょう。心理的瑕疵の場合、明確な基準が存在せず、弁護士を通しても客観的な判断が困難であるため、売主や不動産会社との交渉がうまくいかないケースも少なくありません。

しかし、買取専門の業者へ依頼すれば、心理的瑕疵の内容を調査して現実的な答えを見つけてくれます。売主や不動産会社との交渉が長引きそうであれば、一度買取専門業者の意見を聞いてから、今後の対応を決めていくのがおすすめです。

まとめ

事故物件の調べ方は非常に多くあります。不安であれば、事前にいくつかの方法を試してみるのがおすすめです。

一口に事故物件といっても、理由はそれぞれです。リフォームや改装によって、瑕疵が問題にならなくなっている可能性も充分にあります。

気になる点は事故物件のプロに直接相談し、納得できる家選びをしましょう。