「破格の値段で売られている物件が実は事故物件だった」というトラブルを耳にしたことがある人もいるでしょう。しかし、そういったトラブルはホテルを選ぶ際にも起こりうることです。

住宅を購入する際には不動産情報として必ず記載がありますが、ホテルの場合利用者に伝えなければいけない義務はありません。そうなると、どのように事故物件と見分ければいいのでしょうか。

では実際にホテルの事故物件の実例、そして見分け方をご紹介していきます。

ホテルの事故物件の実例

実際にある有名なホテルでも、知られていないところで死亡事故が発生しています。その真相は明かされていないことが多いですが、ここからは実際にあった事件の例を4つご紹介します。

ホテルニューオータニ

まずご紹介するのは、日本最大手ホテルのひとつであるホテルニューオータニで起こった事件です。

1988年7月、当時阪神タイガースの球団代表だった古谷真吾さんが死亡した状態で発見されました。場所は、ホテルニューオータニ東京の日本庭園内です。

ホテルニューオータニの8階から飛び降りたことが亡くなった原因とされていますが、自殺の経緯など詳しいことは明かされていません。

名古屋マリオットホテル

愛知県名古屋市JRセントラルタワーズ内にある高級ホテル、名古屋マリオットアソシアホテルで起こった事件です。

2009年12月、とある女性が客室内で硫化水素自殺をしました。当時の清掃員が窓ガラスを拭いていた際に、室内で倒れている人を発見し事件発覚となりました。

客室のドアには、「毒ガスが発生しています。110番通報してください。自殺です。」と書いた張り紙が貼られており、自殺であることがわかったようです。

事件当日、名古屋マリオットアソシアホテル内には宿泊者が数名しかおらず、硫化水素によるけが人は出ませんでした。こちらのホテルは、現在も通常通り営業しています。

東京ディズニーリゾートのホテル

千葉県浦安市にある東京ディズニーリゾートホテルでも、かつて飛び降り自殺した家族がいました。

1989年12月、ホテル内の中庭に家族4人が亡くなった状態で倒れているのを宿泊者が発見し、事件が発覚しました。自殺したのは、両親と子供2人の4人家族で、当時長男は11歳、次男は6歳だったそうです。

このご家族が宿泊していた部屋には、東京ディズニーランドで購入したと思われるミニカーやお人形、そして祖父母に宛てた遺書が残されていました。

遺書の内容は、母親が心臓病・糖尿病を患っており治療の苦しさから死を決意した、といったものでした。次男はまだ小さく状況を把握できていなかったようですが、長男である11歳の息子は、両親と話し合ったうえで共に自殺することを決意したようです。

父親と母親が苦しんでいる姿を近くでみていた長男は、両親が死を選ぶことに反対することはできなかったのでしょう。

家族4人で共に飛び降りたのか、それとも一人ひとりのタイミングで飛び降りたのか、具体的なことは明かされていません。しかし、幼いながらに自ら死を決意した長男や、何もわからず怖い思いをした次男のことを考えると、胸が苦しくなります。

東京ディズニーランドは夢の国と言われていますが、このような事件があったことを知ると明るい世界の近くには同じくらい暗い闇が潜んでいるのだと思い知らされます。

京王プラザホテル

東京都新宿区にある2棟建てのホテル、京王プラザホテルでも以前飛び降り自殺した方がいました。亡くなったのは、映画「太陽にほえろ!」にも出演していた俳優の沖雅也さんです。

1983年6月、沖さんは知り合いのホテル嬢と一緒に京王ホテルへ宿泊していました。ホテル嬢に、日景忠男さん宛ての手紙を託したあと、ジャージ姿で最上階の47階まであがり、そのまま飛び降り自殺したようです。

はじめ沖さんは最上階でたばこを吸っていたようですが、警備員が目を離したすきにフェンスをよじ登り、飛び降りてしまったようです。そして屋上プールに落ちた沖さんは、そのまま亡くなりました。

ホテル嬢に託した手紙には、「ホテルまで迎えにきてほしい」という言葉が書かれていたようです。それとは別に、ホテルの部屋から、「おやじ、涅槃で待ってる」という言葉が書かれた遺書が置かれていました。

おやじとはおそらく日景忠男さんのことで、涅槃とは苦しみから逃れ解放された悟りの世界のことを指します。沖さんはすべてから解放されるべく、自殺することを選んだのでしょう。

新宿京王プラザホテルもまた、人気ホテルとして現在も営業を続けています。

ホテルの事故物件に宿泊するとどうなる?

実際にホテルの事故物件に宿泊すると、どのようなことが起きるのでしょうか。

事故物件に泊まった方の経験からは、お風呂場で勝手にシャワーの水が出たり、人がいないのに玄関のチャイムが鳴るなどの怪奇現象が起こるようです。

また、人の声が聞こえる、寝ている時に布団を引きずりおろされる、といったことも起こるようです。もちろん、すべての事故物件で怪奇現象が起きるわけではありません。

しかし、何の変哲もない部屋で奇妙な怪奇現象が起きたとしたら、そこは事故物件だったのかもしれませんね。

上記のような話を聞くとホテルに泊まるのが怖くなってしまうかもしれませんが、かといって毎回ホテルマンに「ここで過去に亡くなられた方はいますか」などと聞くのは失礼にあたるかと思います。

怪奇現象が起きたという話も、事故物件であることを知ったうえでの思い込みといった可能性もあるので、全部が全部事実だとは考えない方が良いでしょう。

ホテルの事故物件に告知義務はない?

誰しも、過去に自殺や殺人事件が起こった部屋には泊まりたくないと思います。では、宿泊する際にそういった事故物件であることは伝えてもらえるのでしょうか。

結論から申し上げると、ホテル側に事故物件であることを告げる義務は無いため、告知されることはありません。住宅を購入または借りる際には、事故物件であることを伝える義務が発生します。

しかし、ホテルの場合は旅館業法という法律のもと営業を行っているため、告知義務はありません。そのため、告知義務が無いにも関わらず自ら事故物件であることを伝えるホテルはなかなかありません。

そのようなことを伝えれば、確実に利用者が減少してしまうからです。宿泊者としては「事故物件であることを伝えてもらえないなんておかしいのでは」と思うかもしれませんが、実際は内装なども綺麗にしたうえで提供されているため、気づかれないことがほとんどです。

ホテルの事故物件の見分け方

ホテル側から事故物件であることを伝えられないとしても、やはり事故物件に泊まるのは不愉快に感じる人が多いでしょう。

では、事故物件であるかどうかを調べるにはどのようにすればいいのでしょうか。

部屋で色々とトラブルが発生していないか

事故物件に宿泊した人の情報では、人の声が聞こえた、布団が勝手に引きずりおろされた、お風呂場のシャワーから勝手に水が出てきた、などの怪奇現象が事故物件で起きることがわかっています。

そのため、宿泊した際に何か異常なトラブルが発生していないか気をつけてみると良いでしょう。

しかし、そうした怪奇現象は偶然起きた現象を思い込みで解釈してしまうこともあります。旅を楽しめないようでは困ってしまうので、あまり気にしすぎない方がよいでしょう。

一部不自然にリフォームされていないか

殺人事件や自殺が起こった場合、事件後に警察の捜査が入ります。そして捜査が終わると必ず法要を行います。法要後には事件の痕跡を残さないよう、壁紙やカーペットを張り替えるといった、部分的なリフォームを行うことが多々あります。

部屋全体をリフォームすることはなかなかありません。なぜなら、全体をリフォームすると多額の費用がかかりますし、そもそもそこまでする必要がないと判断されるからです。

ホテルに泊まった際に一部分だけ内装が塗り替えられていたり、他の部屋とカーペットが違うということがあれば、その部屋が事故物件である可能性もあります。

口コミやSNSなどで噂されていないか

ホテルで殺人事件や自殺が起こると、当日宿泊していた人の誰かの耳にはいる可能性は高いです。そのため、宿泊前に、口コミサイトやSNSでそのような噂が流れていないか確認してみましょう。

しかし、口コミやSNSに流れる情報は全てを信用していいわけではありません。現代は多くの情報に溢れすぎているので、一部の情報を信じ込んで間違った情報を広めてしまうようなことは避けましょう。

事故物件の情報サイトに掲載されていないか

事故物件かどうかを調べる効率的な方法は、大島てるという情報サイトを確認することです。ホテルに限らず、販売中の物件なども調べることができます。

地図上で事故物件となる場所が表示されており、部屋番号や事件内容など気になる情報も確認することができます。そのため、宿泊しようと思っているホテルをこのサイトであらかじめ調べてから予約することで、事故物件に宿泊するリスクを軽減することができるでしょう。

まとめ

ホテルで実際に起こった事件内容や、事故物件の見分け方についてお話ししていきました。宿泊する施設で過去に死亡事故が発生したかどうかはできれば考えたくないですが、わかるのであれば事前に把握しておきたいですよね。

今回ご紹介した事故物件の見分け方は、確実に見分けることができるというものではありません。そのため、どうしても事故物件に泊まりたくないという方は、直接ホテル側に聞いてしまうのが早いでしょう。

しかし、ホテル側も事件が起きたことで大変な苦労をしています。くれぐれもそのことを忘れずに相談してみてください。