孤独死のあった物件の価格はどのくらい下がる?
売り出し用や賃貸マンション・アパートを所有する方であれば、どなたでも孤独死の対応をする可能性があります。注意したいのが、発見までの経過時間や、家の状態によって「事故物件」と判断されて価格が低下してしまうことです。
実際に孤独死が発生すると、どの程度価格が低下するのでしょうか?この記事では、孤独死があった物件・土地の価格の変動を解説します。記事の後半では、孤独死が事故物件に該当するケースと、ならないケースも解説するので、ぜひ参考にしてください。
孤独死のあった物件の価格
ここでは、孤独死があった物件は、どの程度価格に変動があるのか解説します。以下の条件別に、それぞれ見ていきましょう。
・発見が早かった場合
・発見が遅かった場合
・賃貸の場合
参考:https://gro-bels.co.jp/media/article/1681/
参考:https://c-realestate.jp/top/7568/
発見が早かった場合
孤独死の発見が早かった場合は、通常の0%〜10%ほどの価格で売却できます。事故物件と判断されるには、心理的瑕疵という抵抗感が生じるかどうかがポイントになります。
自殺や他殺といった、怨念を感じさせる死因の場合は事故物件に該当しますが、老衰をはじめとした、孤独死を早期に発見できた場合は、心理的瑕疵が薄れ、価格に大きく影響しません。
発見が遅かった場合
孤独死は発見が遅れると、価格が20〜30%ほど低下します。遺体が腐敗して異臭や体液が部屋にこびりつくと、心理的瑕疵が大きいと判断されて、事故物件扱いになります。
その場合、特殊清掃やお祓いの必要性が生じ、売却する際に告知義務が発生します。さらに、周辺の相場よりも価格を下げなければ買い手が見つかりにくくなるため、注意が必要です。
ただし、事故物件でも人気のあるエリアで立地に恵まれているのであれば、買い手がつきやすく、価格を最小限の低下に抑えられます。
また、売却方法を工夫することで、価格の低下を抑えられます。直接買主へ売却するよりも、事故物件専門の買取業者を利用した方が、最小限の価格低下で確実に売却できるので、覚えておきましょう。
売却する際は、適正価格を知るために1つの業者だけでなく、複数の業者に相見積もりを出すのがおすすめです。
賃貸の場合
賃貸の場合は、売り出し用の物件よりも価格の低下は抑えられます。賃貸物件であれば、住人が入れ替わるほか、1人の方が長く居住することで、次の居住者が感じる心理的瑕疵は薄れ、価格を下げなくても入居希望者が見つかりやすくなるためです。
孤独死が発生して、事故物件と認められた物件には告知義務が発生しますが、賃貸の場合は住人が1人住めば、それ以降の居住者への告知は必要ないと考えられることが多いので、心理的瑕疵を生まずに貸し出せるようになります。
孤独死のあった土地の価格
孤独死が発生すると、物件だけでなく、土地そのものの価格も低下する可能性があります。ここでは、孤独死が発生した土地の価格低下について、以下3つの条件に分けて解説するのでぜひ参考にしてください。
・一般的な土地の場合
・人気のある土地の場合
・孤独死から時間が経過している場合
一般的な土地の場合
一般的な土地の場合、10%〜20%ほど価格が低下すると言われています。ただし、エリアや経過年数によって土地の価値が変わるため、一概に10%〜20%の範囲で変動するわけではありません。
土地は、持っているだけで固定資産税や、都市計画税がかかります。適切な価格まで下げないと土地が売れなくなり、税金が発生し続けるので注意しましょう。
売れないからといって大幅に価格を下げてしまうと「何かよくないことが発生した場所なのかもしれない」と疑われてしまいます。不安な場合は不動産会社に相談するのがおすすめです。
また、誤解されがちですが、孤独死が発生した物件を取り壊して土地を売る場合でも、告知義務はなくなりません。
人気のある土地の場合
都心に近く駅やスーパー等に近い人気のある土地は、価格が下落しない場合があります。孤独死が発生した土地でも買い手・借り手が付きやすくなるため、土地の価値を正しく認識するのが重要です。
孤独死から時間が経過している場合
孤独死の発生から時間が経過している場合は、周辺エリアの土地と同じ相場で売却できます。目安としては10年です。
心理的瑕疵は年数が経過するとともに薄れるので、10年も経過すれば抵抗感はほぼなくなります。買い手・借り手が現れやすいので、価格を下げる必要がありません。
ただし、孤独死が発生した物件が建っていた土地ということが後から発覚した場合、トラブルに発展する可能性があるため、事前に買い手・借り手に説明をしておきましょう。
孤独死が事故物件に該当するケースとならないケース
そもそも事故物件に該当しなければ、大きく価値が落ちることはありません。事故物件と判断されるには、心理的瑕疵がポイントになります。
事件や事故、自殺、殺人、火災などが物件で発生すると心理的瑕疵が大きくなります。孤独死は事故に該当する場合と、ならない場合があるため、その差異を知っておきましょう。
ここでは孤独死が、事故物件に該当するケースとならないケースを解説するので、ぜひ参考にしてください。
条件 | 事故物件に該当する | 該当しない |
---|---|---|
すぐに発見された場合 | ◯ | |
発見されるまで時間がかかった場合 | ◯ | |
自殺だった場合 | ◯ | |
ニュースで報道された場合 | ◯ |
参考:https://www.riskbenefit.co.jp/topics/kodokushi/165.html
すぐに発見された場合は?
老衰をはじめとした孤独死が発生して、すぐに発見されれば心理的瑕疵は薄くなります。腐食・異臭が発生する前に遺体を見つけることができれば、物件にダメージを与えることなく供養できるからです。
発見までのスピードに明確な基準はありませんが、腐食が始まる前という目安を覚えておきましょう。とくに夏場は高い気温と湿度によって、遺体が腐食しやすいので注意が必要です。
孤独死を防止・早期発見できるように、あらかじめ自治体の取り組みを把握し、セキュリティ会社や電気・ガス・水道といったインフラ業者と連携しておきましょう。
発見されるまで時間がかかった場合は?
遺体が発見されるまで時間がかかってしまった場合は、事故物件に該当します。腐食が進むことによって、体液・血液が染み出てしまい、建材や備え付け家具に汚れが付き、心理的瑕疵が大きくなるからです。
特殊清掃やリフォームによって孤独死の痕跡は消えますが、事実が消えることはありません。こちらも、明確な日付基準が設けられているわけではありませんが、遺体が腐食してしまうと事故物件に該当してしまうので、1週間程度がボーダーラインと捉えましょう。
自殺だった場合は?
重ねての説明にはなりますが、心理的瑕疵とは、物件に住む際の抵抗感を指します。自殺が発生した物件となると、ほとんどの方が抵抗感・嫌悪感を抱くでしょう。
特殊清掃やリフォームを施した場合でも、自殺が発生したという事実が重くのしかかるため、事故物件に該当してしまいます。
時間が経過すると心理的瑕疵はある程度和らぎますが、あくまで買主・借主が判断するので、どれだけ年数が経過すればよいのかどうか明確な基準はありません。
また、物件の中だけでなく、庭先での死亡や家で自殺をはかり、救急車で運ばれて搬送先の病院で死亡した場合も事故物件に判断されるので注意しましょう。
ニュースで報道された場合は?
近年、熱中症や凍死、老衰といった孤独死がニュースで報道されることが多くなりました。報道され、周辺住民に死亡事故があった物件だと認知されると、心理的瑕疵が大きくなり、事故物件に該当します。テレビ番組だけでなく、WEBニュースも同様なので覚えておきましょう。
まとめ
孤独死のあった物件は、事故物件と判断されると価値が下がってしまい、価格を下げなければ買主・借主が現れない可能性があります。
発見が早かった場合や、賃貸の場合はそこまで大きな影響はありませんが、発見が遅かった場合は心理的瑕疵が大きくなり、価格低下を招くため、対策が必要です。
また、物件だけでなく、土地も心理的瑕疵によって価格に影響が出る点を覚えておきましょう。人気のある土地や、孤独死から時間が経過している場合は、そこまで影響はありません。
孤独死した遺体がすぐに発見された場合は、事故物件として判断されないことが多いですが、発見が遅れて遺体の腐食が進むと、事故物件になってしまいます。自殺やニュースで報道された場合も価格低下の原因になるので、ぜひ覚えておきましょう。