共有持分として所有している土地や建物を手放したいと考えているけれど、ほかの共有者と利害関係から、売却に踏み出せないという人もいるでしょう。

共有持分をめぐるトラブルは多数あり、揉めごとを回避しながら、自分の共有持分だけを売却するには、不動産の買取専門業者を活用するのがおすすめです。

この記事では、共有持分の売却先や売れやすい共有持分の特徴について解説しています。共有持分の売却におすすめの買取業者も紹介しているので、共有持分を売却する前にポイントを押さえておきましょう。

共有持分の売却方法

不動産の所有者がひとりではなく、複数人いる場合、それぞれの所有者が持っている権利の割合を「共有持分」といいます。

共有持分の割合は、必ずしも平等ではありません。3人で3分の1ずつ均等に持っているケースや共有者のうちの1人が、半分以上の割合で権利を持っているケースなど、さまざまです。

複数人で共有している不動産を、まるごと売却するためには、共有者全員から同意を得る必要があり、共有者同士で話がまとまらない場合は売却のハードルが高くなるでしょう。しかし、自分の共有持分だけなら売却は自由にできます。

ただし、共有持分はその不動産の一部であり、一部だけを買い取っても、ほかの共有者の同意を得ないと改良や売却などの行為ができないので、共有持分を買い取ってくれる第三者はほとんどいません。

そのため、共有持分を売却する方法としては、次にあげる4つの選択肢から選ばれることが多いでしょう。

買取業者に売却する

不動産の買取業者に依頼すれば、共有持分だけを買い取ってもらえます。買い取りの相談をしてから売却が成立するまでの日数が比較的短いので、買い手が見つからず困っている土地を早く手放せる可能性が高いです。

ただし、共有持分のみ売却する場合は、買取価格が低くなる傾向にあるので注意してください。買い取り後の共有持分の使い道ですが、買取業者からほかの共有者へ買い取り交渉を持ちかけるケースが多いです。

他の共有者に売却する

共有持分をほかの共有者に買い取ってもらえないか、相談してみるのもひとつの方法です。配偶者や親族と不動産を共有しているケースでは同意を得やすい場合もあるので、話し合いをしてみましょう。

全員合意のうえで売却する

共有者が全員承諾すれば、不動産全体を売却できます。一部の共有持分のみ売却するよりも、売却価格は相場に近い価格になるため、なるべく高い値で売りたいのであれば、全員の合意を得て不動産をまるごと売却した方がよいでしょう。

土地を分筆する

共有名義になっている不動産を分筆すれば、土地を分けてそれぞれの単独名義に変更できます。単独名義になれば通常の不動産と同じなので、ほかの所有者の意思に関係なく自由に売却できるのがメリットです。

ただし、土地を平等に分筆するのは難しく、誰がどの位置をどのくらい所有するのか決めるために測量したり、その後の話し合いがまとまらなかったりして、予想以上に手間と時間がかかります。

共有持分の売却にかかる費用

不動産の共有持分を売却するときには、費用が発生します。売却するときにかかる諸費用について詳しく解説するので、参考にしてください。

登記費用

不動産を売却したときは所有者が変わるため、登記変更の手続きをしなければなりません。登記とは、不動産の所有権を法的に証明するためのものです。

不動産の売却時に必要なのは所有権移転登記の手続きですが、登記の手続きは司法書士に依頼するのが通例となっています。司法書士に登記を依頼する際は、報酬として約 3万円~7万円ほどの費用が必要です。

譲渡所得税

不動産の売却によって利益が出ると、譲渡所得税が課されます。なお、譲渡所得とは不動産の売却金額ではなく、売却で得た利益のことを指します。

売却金額からその不動産を売却する際にかかった費用を引き、そこから売却に適用される特別控除額を引いたものが譲渡所得です。

譲渡所得税には「長期譲渡所得」「短期譲渡所得」の2種類が設けられています。長期譲渡所得は、不動産の所有期間が5年を超えている場合に適用され、それに対して短期譲渡所得は不動産の所有が5年以内の場合を対象としています。

長期譲渡所得と短期譲渡所得は税率が異なり、それぞれの税率は以下のとおりです。

長期譲渡所得税率=所得税15%+住民税5%
短期譲渡所得税率=所得税30%+住民税9%

さらに、基準所得税額の2.1%が復興特別所得税として徴収されます。

印紙税

契約書の作成には印紙税が課され、不動産の売買契約書も印紙税の対象です。印紙税は不動産の売買額によって税額が決められています。

不動産の譲渡に関しては、租税特別措置法という法律で印紙税の軽減措置が適用されています。売買価格に対する印紙税額は以下のとおりです。

10万円を超え50万円以下 200円
50万円を超え100万円以下 500円
100万円を超え500万円以下 1,000円
500万円を超え1000万円以下 5,000円
1000万円を超え5000万円以下 10,000円
5000万円を超え1億円以下 20,000円

仲介手数料

不動産会社が売買の仲介をした場合、仲介手数料の支払いを求められます。仲介手数料には成功報酬や、各種手続きにかかる費用も含まれています。

仲介手数料がどれくらいの額になるかは不動産会社によりますが、宅地建物取引法で報酬の上限が決められているため、それより高額になることはありません。

法律で定められている仲介手数料の上限は以下のとおりです。

売買価格200万円以下の仲介手数料=売買価格の5%+消費税10%
売買価格200万円超~400万円以下の仲介手数料=売買価格の4%+消費税10%
売買価格400万円超の仲介手数料=売買価格の3%+消費税10%

売却するのにおすすめの共有持分

共有持分は自分の裁量で売却できますが、実際にはどのような共有持分が売却しやすいのでしょうか。ここでは、買取業者などに買い取ってもらいやすい共有持分の特徴について解説します。

相続時の共有持分

相続した不動産を兄弟姉妹や親子で共有名義にしたあとに、共有者同士で揉めごとになるパターンは多いといわれています。共有分割した不動産を次の世代へ相続するときに、また共有分割していくことで、共有者の人数が増えていって利害関係が複雑になります。

共有者が増えれば、いずれはお互いに顔も知らないし連絡手段も分からないといった状況に陥るため、売却手段が見つからずに買取業者を頼るケースもあります。

親族とトラブルになっている共有持分

共有持分をめぐって親族間でトラブルが起こるケースもあります。所有者同士の仲がよいときは問題なくても、不動産の使用方法などをきっかけに関係が悪化して収拾がつかず、いっそのこと不動産を手放してしまいたいと売却を検討する人も多いでしょう。

買取業者ではトラブルを抱えた共有持分の買い取りも行っていて、共有者同士の利害関係を調整しながら買い取りを進めることも可能です。

当事者同士で直接話し合っても時間ばかりかかって、売却の目処がつかない場合は、不動産買取業者に仲介してもらって、売却をスピーディーに済ませましょう。

離婚時の共有持分

次におすすめするのは、離婚を機に不動産の共有関係を解消したいケースです。「配偶者と共有名義になっていた不動産があり、離婚するので自分の共有持分だけを売却したい」などの事例があります。

離婚にともなって共有持分を売却する場合は、住宅を手放すことに関して、双方の意見が一致していれば、比較的早く買取業者に買い取ってもらえる可能性があります。

ひとつ注意しなければならないのは、離婚協議中の共有持分の売却についてです。離婚協議中に自分の共有持分だけを売却すると、売買によって得た利益が財産分与の対象になってしまう場合があります。

共有持分の売買益を財産分与したくない人は、売却のタイミングに気をつけましょう。

高く売却できる共有持分の特徴

共有持分を買取業者がいくらで買い取るかは「その不動産全体の価値」「所有する持分の割合」などを総合して判断されます。

買取相場の目安としては「不動産全体の価格×共有持分の割合×2分の1」が一般的とされていますが、次にあげる条件に該当するケースでは売却価格が高くなる傾向にあります。

持分割合が多い

まず高値がつきやすいのは、持分割合がほかの所有者より多い共有持分です。

共有持分は、持分割合が多いほど所有者の権利の範囲が大きくなります。たとえば、不動産の管理行為にあたる利用や改良は、持分割合の過半数があれば可能です。

つまり、共有名義のマンションを短期で賃貸物件として貸し出す行為や、リフォームする行為は、2分の1を超える持分割合を持っていれば可能になります。

そのため、持分割合の多い共有持分は価値が高く、有利な金額で売却できることが多いでしょう。

トラブルを抱えていない

共有者の間でトラブルになっていない共有持分は、買い取りにかかる手間が少ないので、買取価格が高くなりやすいでしょう。

共有持分をめぐってトラブルになっている場合は、ほかの共有者との利害関係を整理する必要があり、買取業者にとってはコストがかかる案件です。トラブルがない共有持分の方がスムーズに売却でき、高値で売れる可能性があります。

資産価値が高い

共有持分の価値は、その不動産全体の価格をもとに評価されます。不動産そのものの価値が高ければ、共有持分の買取価格も高くなることが期待できるでしょう。

価値が高い不動産の特徴はいくつかありますが、たとえば新築や築年数が浅い物件、立地がよい物件、浴室・トイレ・キッチンなど、水回り関係が新しい状態である物件などが該当します。

また、賃貸契約をしている物件の場合は、安定した家賃収入が確保できていると資産価値が高く評価されやすいです。

古い物件や問題を抱えた物件は一般的に買取価格が低くなったり、買い取ってもらえなかったりするケースもありますが、訳あり物件専門の買取業者に依頼すれば、資産価値を評価してもらえる可能性があるでしょう。

共同売却を検討している

ほかの共有者と共同で売却すると、単独で売却するよりも買取価格が高くなる場合があります。たとえば、3人で3分の1ずつ所有しているケースでは、共有者のうち2人が同意して共同で売却すれば売却する共有持分の割合が過半数を占めるので、価値が上がります。

1人分の共有持分だけでは買取価格が低くても、売却する共有者の人数が増えれば、そのぶん価値が高くなるため、ほかの共有者に共同売却の話を持ちかけてみるのもおすすめです。

売却時のトラブルを防ぐ方法

共有持分を売却しようとしてほかの共有者との揉めごとに発展したり、相談なしに売却を済ませてしまって人間関係が悪くなってしまったりするケースは多いでしょう。

無用な争いを避けたい人は、ここでお伝えする共有持分の売却でトラブルにならないための対処法を実践してみてください。

他の共有者に話して理解を得る

共有持分を売却する際は、ほかの共有者にその旨を伝えてから行動した方がよいでしょう。共有不動産は親子や兄弟姉妹、配偶者など、近しい関係者同士で共有しているケースも多く、何も相談せずに売却してしまうと、後々の関係にヒビが入る可能性があります。

「話してもどうせ理解してもらえない」と説得する前から諦めるのではなく、仮に同意を得られなくても、自分の共有持分だけなら売却できるので、売却の意思があるということだけでもほかの共有者に伝えておきましょう。

遺産相続時に共有しないようにする

そもそも不動産を共有名義にしなければトラブルも起こらないので、遺産相続をするときに分割して所有しないようにするのも対処法のひとつです。

不動産を共有名義にしても、固定資産税の納付書は代表者1人のところに送付されるため、代表者がほかの所有者からお金を集めて税金を納めるといった管理をしなければならず、不満を抱えることもあります。

もし相続した不動産を売却するのであれば、1人の代表者の名義で相続してから売却する方法がおすすめです。共有名義にしたあとに売却するよりも、手続きにかかる手間や時間が少なく、負担を減らせるでしょう。売却で得た利益を相続人同士で分け合えば、不公平感もなくなります。

共有状態を解消する

どうしても共有状態を解消したいときは、共有物分割請求をするという手段があります。1人の共有者が共有物分割請求を行うと、ほかの共有者は拒否できず、請求に応じなければならないので、確実に共有状態の解消ができるでしょう。

共有物分割請求が行われたあとは共有者全員で話し合い、分割方法を決定します。共有不動産の分割方法には「換価分割」「現物分割」「代償分割」の3つがあります。

代償分割は、共有している不動産すべてを売却して売却益を共有者で分け合う方法です。各共有者がどれくらいの売却益をもらうかは、共有持分の割合によって決まります。

現物分割では土地を分割して分けますが、土地の形状などから持分割合のとおりに分割するのが難しいケースでは、差額分が現金で清算されます。

代償分割は、1人の共有者がほかの共有者から共有持分を買い取り、代償金を払って不動産を単独名義に変更する方法です。話し合いをしても結論が出ないときは訴訟が行われ、裁判所の判決で分割方法が決定されます。

共有物分割請求をすれば最終的に不動産の共有を解消できますが、共有者同士の折り合いがつかないと手続きがなかなか進まないというデメリットがあります。

信頼できる買取業者に依頼する

買取業者に不動産を売却する場合は、共有持分の買取実績が豊富で信頼できる買取業者を選ぶようにしましょう。

共有持分の売却をめぐって共有者同士のトラブルが予想されるケースでも、共有持分の扱いに長けた買取業者なら、トラブルを未然に防いだり、弁護士と連携してトラブルを解決へ導いてくれたりするので、いざというときも頼りになります。

また、納得のいく査定額を提示してくれる買取業者かどうかもチェックポイントです。信頼できる買取業者は不動産の状態や価値を見極めて、その買取金額を提示した根拠まできちんと説明してくれるでしょう。

明確な理由もなく低い金額で買い取ろうとする買取業者や、最初に高い査定額を出したのにあとから理由をつけて減額してくるような買取業者は要注意です。

まとめ

共有不動産の売却は共有者同士の関係性が複雑であるほど難しく、自分の共有持分だけをスムーズに売却したい場合は不動産買取専門業者に依頼するのがおすすめです。

一般的な不動産業者に仲介を依頼するよりも、買取業者に売却した方が早く不動産を手放せるケースも多いです。

共有持分の売却先には、アウトレット不動産を選んでみてはいかがでしょうか。アウトレット不動産は、訳あり物件を専門に取り扱う不動産買取業者で、共有持分の買取実績も多数あります。

事情が込み入っていて通常では売却が困難な土地や建物を数多く買い取ってきたので、トラブルを抱えた共有持分の売却でも安心してお任せください。

共有持分の売却でお悩みの際は、問い合わせフォームまたはお電話で気軽にアウトレット不動産にご相談ください。